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→つくば100キロウォーク2012 その1
→つくば100キロウォーク2012 その2
→つくば100キロウォーク2012 その3
20km筑波休憩所に戻ると、再びmoonさんたちと合流することができた。
一息ついて、すぐにまた歩き出す。
去年の経験が生きてる。
疲れているからといって長く休んでしまうと、
筋肉が固まって次に動き出すときに痛くてたまらない。
もちろんまだまだ20kmしか歩いてないから、
どんなに休んだところでたそこまでの痛みは出ないのだけれど、
後半のペースを考えれば、少しでも前に進んでおいたほうがいい。
100kmにおいては、気持ちを切らさないことが何より大事なんだ。
"このペースでいけば絶対に歩き切れる"
その気持ちだけが支えになる時間帯が必ずやってくることを、
去年の経験は教えてくれた。
スタートから20kmチェックポイントまでが3時間32分、
今のところ実に良いペースを保てている。
休憩時間が短いとはいえ、ちょっと想定より早すぎるくらいだ。
時計は16時半を回り、そろそろ日が落ち始めてくる。
ついにコースは一般道から「りんりんロード」へ。
20km筑波休憩所を発ってしばらく歩くと、
路肩にセブンイレブンが見えてくる。
筑波休憩所から少し歩いたところにセーブオンがあるけれど、
それを除けば、長い100kmウォークのコース上に唯一存在するコンビニだ。
参加者にとっては何もない暗闇に光る希望の光、
まさに砂漠のオアシス。
私はここでおにぎり2個とエネルギー補給用のゼリーを買った。
冷たいゼリーが火照った身体に浸みる。
おにぎりは1つだけ、よく噛んで食べる。
食べ物が身体に吸収される感覚を味わう。
遠足にしてもそうだけど、外で食べるはおにぎりは
何でこんなに美味いんだろう。
しかしながら案の定・・・というか、残念ながら、というべきか、
既におにぎりの棚は空欄が目立っていた。
この調子だと折り返し戻ってきたときの補給は難しそうだ。
去年も結局、復路では売り切れてしまっていた。
スタート地点近くのセーブオンにも言えることなんだけど、
コース周辺のお店は大会当日に備えた仕入れを全く行っていないみたい。
今年は去年よりも参加人数が多いし、去年の状況を踏まえて、
運営も事前に各店に通達してるって話だったから
多少期待していたのだけれど、まぁ、こんなもんだよね。
コンビニ各社よ、君たちに期待していることは何もないのだ!
スタート地点にお弁当、コース上におにぎり、
冷たいドリンク、夜間に備えた温かいポタージュなんかがあれば
最高なんだけどな。
そういう意味では、大会も今年で3回目。
歩いている最中にも「何かのイベントなんですか?」と
尋ねられることも多く、地域住民への周知はまだまだなんだと感じる。
東京マラソンやつくばマラソンのように、
地域住民の方が沿道に応援に駆けつけるくらいになると
大会としても認知されてきたと言えるんだろうけど。
20km筑波休憩所から40km岩瀬休憩所を折り返し
再び筑波休憩所に戻るこのコースは、
閑静な住宅地のド真ん中を通り抜けるような形になっている。
夕方くらいまでは近所の子供たちが遊ぶ姿も見ることができるのだけど、
日が落ちてくるとすっかり人の気配が無くなる。
あとは折り返し歩いてくるトップグループのヘッドライトと、
遥か前方を歩く参加者の赤い後方点滅ランプだけがコースを照らす。
いよいよ周囲が暗くなったらオトナの時間だ。
周りには何もない。聞こえるのはカエルの鳴き声だけ。
100kmウォーク恒例?という訳でもないのだけれど、
仲間とエロい話をするのがこのエリア唯一の楽しみ。
全員が既婚だったこともあって、配偶者との初体験や、
漫画のキャラクターの中で誰を抱きたい(抱かれたい)かなんて話した。
修学旅行だと逆に話せない、そんなオトナコドモな会話が楽しかった。
このあたりの会話はmoonさんもmoon pieceで書いてるよね。
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎていき、実をいうと、
30km真壁休憩所を抜ける頃から、猛烈にケツに違和感を感じていた。
タイツとケツが擦れて、ヒリヒリと痛い。
去年も100kmを歩いたけれど、こんな痛みは感じなかった。
また、今年に入ってからも、この大会のために個人で20km、
チーム練習会でも35kmほど連続で歩き続けたのに、
ケツとタイツが擦れて痛くなるなんてことは無かった。
去年のつくばマラソンのとき、ノーパンに機能性タイツを履いて、
やっぱり同じようにケツが擦れて痛くなった。
今年の100kmはそのときの反省を踏まえ、
機能性タイツの下に擦れにくい素材でできた
ボクサーブリーフみたいのを履いていた。
どうやらこいつが更に肌に合わなかったらしい。
練習会では何ともなかったんだけどな・・・これが本番の怖さか。
40km岩瀬折り返しまではなんとか誤魔化し誤魔化し歩くことができたけど、
復路の50km真壁休憩所では
もう耐えられないくらいの痛みになってきていた。
状態を確かめるために軽く幹部を触ってみると、
ケツから汁が、ケツから何か透明の汁が出てる!!
晴天だったこともあって、気温もみるみる下がってくる。
吐く息も白い。
い・・・イヤだ、ケツが痛くてリタイアなんてぜってーイヤだ!
リタイアした理由として恰好悪すぎる。
痛い。寒い。イヤだ。痛い。寒い。イヤだ。
40km岩瀬休憩所から50km真壁休憩所までの10kmは、
ほとんどこれだけを考えて歩いていた。
ケツを庇いながら歩いていたせいで、徐々にペースも落ちてくる。
一緒に歩いていたmoonさん、カービィさん、あららちんに
ペースを合わせて貰いながら歩く。情けない。
今年は何よりもmoonさんの完歩が目標なのに、
このケツのせいでペースが乱れたらどうするんだ・・・
せめて寒さだけはしのごうと、
体温の低下を防ぐために上からトレーニングウェアを着る。
でも、今思えばこれは失敗。
確かに着れば温かいんだけど、中で汗が出るわ出るわ。
どうせ気化熱で体温が奪われるなら、
みんなみたいに薄着のまま歩いてた方がいくぶん楽だったかもしれない。
脱ぐと寒い、着ると暑い。
去年の雨とは違う、晴天ならではの難しさ。
昼と夜とでこんなに寒暖差があるとは思っていなかった。
気分転換の意味も含めてウェアは60kmで着替えようと思ってたし、
それで充分だと考えていたけど、汗で濡れてるなら
素直に40km岩瀬休憩所の時点で着替えればよかった。
夜が明ければあとは暑さとの戦いになる。
そうなればどうせ汗で濡れるんだから、
わざわざ新しいシャツをとっておくことはない。
今年の教訓。ウェアの替えは夜に。着替えには余裕を持つべし。
話を戻す。
で、とにかくケツが痛い。痛くて痛くてたまらない。
とうとう耐えかねて、50km真壁休憩所でパンツとタイツを脱ぐことにした。
これ以上擦れ続けられたら、たぶん歩行すら難しくなる。
ここでタイツの締め付けが無くなるのはダメージだけど、
この先歩けなくなるよりはずっといい。
真壁に着くと休憩もそぞろに汗だくになった上着を着替え、
ボクサーパンツと機能性タイツを脱ぎ、短パンを履く。
ノーパンに短パン、初めての感覚。
下半身がスースーして、擦れた肌に心地よい。
短パンの生地がケツ汁に触れると若干貼りつく感じはあるけど、
さっきの状態よりずっと楽だ。
これだ。これならイケる。
でも、この想いは再び歩きだしてすぐに間違いだったと気づく。
足が非常に重たい。
締め付けから解放された太もも、ふくらはぎが悲鳴を上げている。
そりゃそうだよね。
何となく、まだまだ50km、全体の半分しか歩いていないような
気持ちになっていたけれど、既に10時間以上ぶっ続けで歩いてる。
日常生活ではまず考えられない運動量だ。
フルマラソンだって6時間もあればゴールできてる。
100kmって距離に感覚がおかしくなっているけど、
どう考えたって疲労も溜まっている。
機能性タイツって高価なだけあって
本当に疲労軽減の効果があるんだな・・・
今まで文句も言わずに働いてくれていた足腰は、
きちんと距離相応のダメージを負っていたんだ。
でもそうなると、ここで考えなければならない。
ゴールまでの距離と、残り時間。
倍々で積み重なってくるであろう精神と身体の疲労。
歩いた距離に比例して、さらに増してくるであろう、ケツの痛み。
それを庇いながら歩き切れるだけの体力の残。
夜明け後に訪れるであろう、強烈な日差し。
自分の能力と、経験と、装備と。
様々な要素を組み合わせ、頭の中でシミュレートしてみる。
どうずれば完歩できるか。
完歩のために、身体が最も求めているものは何か。
ボクサーブリーフを履くことはもう無い。
これ以上ケツにダメージを与える訳にはいかない。
機能性タイツを再び履いて、足の疲労を軽減する。
しかしながらそれは、我がケツとの決別を意味する。
これ以上擦れた状態が続けば、
歩くことすらままならなくなるかもしれない。
タイツは履かず、ノーパンのままこのまま歩き続ける。
しかしながらそれは、今後間違いなく襲い来る
壮絶な足腰の痛みとの戦いを意味する。
練習と覚悟のおかげで、昨年よりも幾分は楽になっている感はあるものの、
後半戦を考えれば決して楽観できる状態ではない。
歩きながらエアーサロンパスを太ももに吹き付ける。
それが風に乗ってケツに触れるだけで激痛が走る。
愛しのロキソニンちゃんも、この手の痛みにはほとんど効かない。
いずれも棘の道過ぎる。
しかし、今の装備でできるのはこれが限界。
・・・リタイア・・・?
60kmでリタイアする?
ケツが痛いからリタイアしますって、皆の前で言えるのか・・・?
いや、言えるけどさww
でも絶対いやだ。それだけは嫌だ。恰好悪い。
もっとリタイアせざるを得ない状況じゃなきゃ絶対に嫌だ。
だって俺、69kmまでは絶対に歩くって決めたもん。
できない理由がケツにあるなんて、それは嫌。
今この瞬間にも突然車が突っ込んできて、
全身の骨がバッキバキに折れて、血まみれで吐血くらいしてなきゃダメだ。
自分自身が許せなくなる。
あーマジで車とか突っ込んできてくれないかな・・・
そんな不謹慎極まりないことを考えながら歩くうち、
再びセブンイレブンの看板が見えてくる。
しかし、神はいた。確かにそこにいた。
ここで、恐らく私の今年の100kmウォーク最大にして最高の閃き、
数々の危機的な状況を乗り越え、苦難を喜びに変える
最高のアイディアが頭を過ぎる。
そうだ。ここでトランクスを買おう。
まさに天才的、圧倒的な閃きだった。
よく考えれば、去年の100kmウォークでは、
綿のトランクスの上に機能性タイツを履いていた。
そのときには、ケツが擦れて痛くなるなんてことはなかった。
もしかしたら、雨が降っていたせいで摩擦が少なかっただけかもしれない。
でも、今の私のケツが求めているのは、綿の優しさなのだ。
どんなに機能が優れていようが、通気性が良かろうが、
常日頃からケツを包んでいるあの綿の感触だけが自分を救ってくれる。
ケツ汁もうまい具合に吸ってくれるに違いない。
トランクス。ああトランクス。
どうして思いつかなかったんだろう。
こんなにもトランクスが愛おしいと思ったことはない。
セブンイレブンで、普段は絶対に見ないような、
いわゆる”お泊りグッズ”的なコーナーに足を止める。
あった。トランクス。650円也。
ああ・・・君と会える日をどれだけ待ち侘びたことだろうか。
例え5,000円だったとしても、今の私なら買ったに違いない。
これほどまでにトランクスを欲するのは、
私以外には、ウンコを漏らした人くらいなものだ。
トランクスと、お腹の足しになりそうなものをいくつかレジに持っていき、
店員の訝しげな視線を受けつつ、清算を済ます。
意気揚々と、再びコースに復帰する。
きっとあの店員は、私のことを大会中にウンコを漏らした不憫な人、くらいにしか思ってないんだろうな。
期待に応えられなくて残念だったな!!
ちなみに、おにぎりは予想通り完売だった。
でも、おにぎりよりも何よりも、トランクスに出会えたことが嬉しかった。
私は無事に60km筑波休憩所まで戻り、そこで木陰に隠れて短パンを脱ぐと、
トランクスを履き、その上に機能性タイツを履いた。
コンビニ各社よ、いや、セブンイレブンよ、
あのとき期待していないなんて言った私が悪かった。
ありがとう。
今年完歩できた要因の何割かは、このトランクスのおかげです。
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