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撃ち抜けないのは、美女の心と物事の急所だけさ。
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既存の価値観が崩れ落ち、新しい可能性の芽が
ポンと顔を出した瞬間に立ち会えた気がするよ。

正直、僕は今まで「昆虫食」ってジャンルに対して
良いイメージを持っていなかった。

昆虫を食べることができるのは知ってる。

でも、それはぶっちゃけ美味しいものではないし、
小さな命を奪ってまでわざわざ食べるものとしての認識はなく、
それを提供するお店にしても
どちらかといえばイロモノ的な扱いで、
その見た目や珍らしさから「ゲテモノ」として
面白おかしくわーきゃー言ってもらおうと
むやみやたらに奇をてらった
不躾な調理と盛り付けを繰り返すような...

僕にとっての「昆虫食」は、
そういうジャンルでしかなかった。

だから、今回僕の敬愛する三軒茶屋JOE'SMAN2号の店主から
そのお話をいただいたときも
率直に「なにしてんねん」と思わずにはいられなかった。

とはいえ、あの店主が単純に"そんなこと"を僕に勧めてくるはずもなく、
それに加えて

「もし美味い昆虫がいるのならちょっと食べてみたい」

という純粋な好奇心も手伝って
実際に食べに行ってみたらこれがもう、
昆虫、マジで美味い(笑)

ほんっと目から鱗過ぎる夜だった。

「昆虫=ゲテモノ」

そんな既成概念が滑稽に思えるほど刺激的な体験で、
このカウンターに座った十数名だけが
タイムマシンに乗ってちょっと未来の
レストランに来てしまったような感覚というのだろうか。

そんなのもうめちゃめちゃワクワクするじゃんか。

もちろんまだまだ改善の余地はたくさんあると思う。
わざわざ虫である必要はないよなぁと思う一皿もあったし(笑)、
余韻になんともいえない違和感を感じたものもあった。

さらにいえば世の中にはもっと美味しく安く、
それでいて手にも入りやすい食材がたくさんある。

でも...でもね、それでも今日の一皿は
紛れもなく美味しく楽しく刺激的だった。

未知の食材と出会えた感謝と、
その瞬間に立ち会えた感動と。

凝り固まった概念が崩れ去る瞬間が、楽しい。


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撃ち抜けないのは美女の心と物事の急所だけさ。

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