撃ち抜けないのは、美女の心と物事の急所だけさ。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
『二度と戻らぬ
「森博嗣」ではなく「森巣博」。
森巣博の描く博奕(ばくち)には“熱”を感じる。だから好き。
森巣博は1948年の日本生まれ。
雑誌編集者を経て渡米、後に大学教授となる英国人妻と結婚。
現在はオーストラリアを本拠地に執筆活動を行う兼業博奕打ち。
1994年の全豪牌九(パイガオ)選手権覇者。
初めて彼の小説を読んだのは大学生の頃。
集英社文庫から出てる『越境者たち』って小説で、
「合意の略奪闘争の場」たるカシノで出会った3人の越境者が紡ぐ
痛快で、しかしそれでいて壮絶な物語に酔い、その熱に当てられてしまった。
この小説と出会ったからこそ、
今もなお自分は競馬も競艇も競輪もパチンコも宝くじも、
熱くなりそうなギャンブルには手を出さない
(ってかそもそも熱くならないギャンブルなんてない気もするけど)。
唯一買い続けてるtotoBIGも、1回1口以上は絶対に買わない。
やり続ければ絶対に負けるのがギャンブル、
そう思わせる不思議な説得力が、彼の作品にはある。
『二度と戻らぬ』は雑誌編集者、加納涼子の視点で始まる。
成立するはずのない職業車券師を求める取材過程で出会った
「プロの」博奕打ち森山道と、彼を巡る数奇な運命の物語。
正直なところ『越境者たち』に比べれば
安易な展開と感じる場面は少なくなく、また
北村薫や東野圭吾を読んだあとでは、どこか中途半端で、
かつ不格好とも感じてしまう描写もある。
でも、それでも自分はこの物語を面白いと感じ、
好きだと思い、ブログに書きたいと思った。
それは、彼の描く人間の誰もに荒々しい「熱」を感じるとともに、
彼の徹底して批判的な視線が読んでいて非常に心地良いからだ。
自分は個人的にはリベラルな思想の持ち主だと思っているのだけど、
もし仮にクソ右翼とクソ左翼のいずれかに
自身の志向を分類しなければならないとすれば、
間違いなく自分はクソ左翼の方に属すると考えている。
どちらも言ってることは違えどやってることは同じという意味で、
そしてどちらも過去を「克服」できていない落伍者という意味で
クソであることには変わらないのだけど、皮肉精一杯に
「自己反省」してる分だけクソ左翼の方がまだ幾分マシ、と感じている。
─ちなみにこの左右云々の話は往々にして誤解されやすいのだけど、
世間一般的な評価で、こっちがタカであっちがハトでとか
その類の話とは一切関係なく、自分が個人的にどう感じたか、
右と感じれば右で、左と感じれば左、どちらでもなければどちらでもない、
それだけの話として読んでいただきたいのだけど─
にも関わらず、自分はクソ左翼の著名人が出す本が
本当につまらない、くだらないと感じることが多くて、
むしろ、どちらかと言えばクソ右翼の出す本の方が果てしなく面白く、
魅力的で、奥深く、この世の真理を暴いているとすら感じることもある。
だからこそクソ左翼の出した的外れなタイトルの本が書店に並んでいながら、
あたかも著者自身はその本を手に取ったクソ右翼の読者が
「改心」してくれるだろうと自分勝手に満足している現状が許せない。
そんなタイトルの本、クソ左翼以外の誰が手に取る?
そうだね、本当にそうだよねって「同志諸君」で頷きながら
肩を組むのも別に構わないと思うのだけど、
個人的にはそういう方々とはお付き合いをしたくない。
クソ左翼は、エンターテイメントとして破綻してる。
だから、面白くない。読まれない。それは至極当然のこと。
森巣博は、たぶん、そこを徹底的に批判してる、嫌悪してる。
読ませたければ、面白くすればいい、
快感となればいい、そう(きっと)考えている。
だから、読んでて果てしなく痛快で、面白い。
もちろんこれはこの小説が博奕打ちの物語として
経験に裏付けされた徹底してリアルな賭場の描写と
人間観察の目があって初めてできることであって、
読んでいて面白い、面白くなきゃいけない、面白くないはずがない、
そんなエンターテイメントとしてこの作品が成立していることが前提だ。
そこはたぶん、大丈夫。
これはそんな一冊。
・・・とまぁ、ここまで書いとてナンだけど、
もし今後初めて森巣博を読んでみようって方がいたら、
『二度と戻らぬ』よりはまず『越境者たち』をお勧めするけどね。
PR
PR
最新記事
(05/23)
(01/25)
(12/11)
(06/27)
(06/26)
リンク
カレンダー
08 | 2025/09 | 10 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 | 29 | 30 |
カテゴリー
カウンター
ブログ内検索
PR2
アーカイブ