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撃ち抜けないのは、美女の心と物事の急所だけさ。
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2014年2月2日に茨城県守谷市で開催された
第30回守谷ハーフマラソンの完走記。

ひさしぶりのレポートです。よかったら読んでみてくださいませ。



2時間51分44秒。

2年前に参加したハーフマラソンでの記録で、
自身の持つ最速タイム(公式)。

でもって、

2時間15分。

今回参加した守谷ハーフマラソンの制限タイム。

エントリー後に大会の詳細を知ったとき「どうしよう・・・」って本気で思った。
そのときの絶望感たるや半端なかった。

守谷への挑戦は、まずはこの絶望感から始まった。

第29回NAHAマラソンが開催される少し前の11月中旬、
夏頃から始めた練習に少し手ごたえを感じていたこともあって
moonさんに誘われるがままエントリーをお願いしたのだけど、
そのときは「ハーフならまぁいいか」くらいの軽い気持ちだった。

もちろんエントリーを快諾した理由はいくつかある。

2月初旬なら仕事的にもちょうど動きやすい時期だし、
2012年に初完走したつくばマラソン後の燃え尽き症候群っぷりを
今年もまた患うのが嫌だったので、年末から年始にかけて
今までと少し違う過ごし方をしてしてみようと思っていたところだった。

ハーフマラソの21.0975kmという距離は、
その点、次の目標としては手ごろな距離だと考えていた。

ところが、だ。

よくよく確認してみたら自己ベストを遥かに上回る時間設定。
我ながら迂闊過ぎる判断だったと今でも思う。
このときは、挑戦するだけしてしてみて「ごめんなさい無理でした」でも
最悪構わないかな、とさえ思っていた。

守谷に向けた本格的な練習を始めたのはNAHAが終わってから。

NAHAについてはレポートを書こう書こうと思いつつも
多忙を理由に現在に至る訳だけど、簡単にまとめてしまうと、
走る前も、そして走ってるときも、そして走り終えたあとも、
「あれ?走るのってもしかして凄く楽しいことなのかも?」と
思えるような体験をさせてもらえた大会だった。

そして、この大会をちゃんと時間内に走り切れたことで
自分の中で走ることに対する自信みたいなものが生まれた。

これは、100kmを初めて歩き切ったときの感覚に近いと思う。

その感覚はもしかしたら錯覚なのかもしれないけれど、
でもオレ、もうちょっと頑張ればNAHAと同じように
守谷だって走れるんじゃないか、イケないこともないんじゃないか、
どうせ走るのなら守谷も思いっきり楽しんでやろうじゃないか、
やってやろうじゃないの上等じゃないのさ。

ホント不思議なんだけど、
自分の中での意識が大きく変わった瞬間だったと思う。

幸いなことに、そのためにクリアすべき課題は明白だった。

ハーフマラソンの距離を走ること自体は
きちんと準備して臨むことができれば
今の自分にとってそこまで難しいことではなくなっていた。

問題は、その走り切る時間。

守谷マラソンの制限時間内で走り切るためには、
今までのキロ7分台で走っていたペースを
キロ6分ジャストくらいで走れるようにしなけらばならない。

キロ6分なら乗ずることの21キロちょいで2時間6分強。
エイドステーションや混雑で多少オーバーしても少し余裕のあるペース。

そう考えたら「あれ?なんだ、たったそれだけのことじゃん」と、
「それならあとはそれをクリアすればいいだけじゃん」と思えたのは
自分の目指すべき方向が明確に定まったからだと思う。

NAHA以降は、とにかくペースを意識して走りまくった。
12月は129km(NAHAを含む)、翌1月は126km、
2ヵ月の間に255km、もちろん人生の中でこんなに走ったことはない。

走りながら、どんどん自分が速くなってる手ごたえを感じていた。
意外とやればできるもんだなと感じていた。
だからこそ走るのが楽しくて楽しくて仕方がなくて、
時間があればそれこそ週末ごとに、人が変わったように走っていた。

大会の2週間前の練習で、初めてハーフマラソンの距離を
守谷の制限時間である2時間15分以内に走り切ることができたとき、
その楽しさは、嬉しさは、快感にさえ感じるほどだった。

たぶん、イケる。

ここまで来たら、下手に怪我をする前に本番を走りたくてたまらない。
マラソン大会の当日が待ち遠しいなんて生まれて初めての経験だった。


大会当日。
その日の朝は生憎の天気で、今にも雨が降り出しそうな空模様だった。

昨夜の段階では雨の予報は消えていたけど、
せめて午前中、制限時間いっぱいの12時15分頃までは
雨が降らないことを祈るばかりだった。

眠気眼をこすりながらシャワーを浴び、
痛めがちな膝と足首にテーピングを巻いて
両乳首に擦れ防止の絆創膏を貼る。

足裏に皮膚のコーティング剤を塗り込んで5本指ソックスを履き、
機能性タイツと赤い戦闘服に身を包んで
履き慣れたスニーカーを突っかけて外に出る。

ハーフとはいえフルと同じだけの準備と覚悟が必要だ。
「大丈夫、なんとかなるだろう」という思いと、
「いやいや、そんなに甘いものじゃないだろう」という思いと、
相反する思いがせめぎ合う中で最終的に自分が選択したのは後者だった。

自分にとって2時間15分以内のレースは未知の領域、
舐めてかかれるほど自分は偉くも速くもねぇぞ、と。
泣いても笑っても2時間15分、
その中で自分のできるベストを尽くそうと考えていた。

街は夜明け前特有の澄んで冷たい、
そして雨を予感させる湿った空気の匂いに包まれていた。
絶好のマラソン日和とまでは呼べないまでも、
冷たく吹き付ける風もなく、走るには悪くない日だ。

乗り換え駅である北千住のコンビニで納豆巻きと飲むヨーグルトを購入し、
TXのホームで電車を待ちながらよく噛んで食べる。

2013つくば100kmウォーク大会前に
道中にあるセブイレブンで何を食べようか試行錯誤した結果見つけた
自分にとって一番しっくりきた組み合わせ、いわゆる簡易版の勝負飯だった。

ほのかに漂う納豆の芳ばしい香りによって
周囲から人がいなくなっていたのはきっと気のせいだろう。

TXの車内は大会規模のせいなのか、天候のせいなのか、
単純に県外からの参加者が少ないせいなのかは分からないけれど、
空席が散見されるほどだった。

立ち移動は疲れるし、本番前は可能な限り足に負担をかけたくなかったから、
つくばマラソンのときとは対照的なこの光景は嬉しい誤算だった。

守谷駅からの無料送迎バスもそれほど待たずに座ることができた。
受付を済ませ、会場で皆と合流する。

集合場所は区役所庁舎内。
朝早くから会場に来て屋内に場所を確保してくれたAkiさんに感謝だ。

今回参加するのはmoonさん、あららちん、大島くん、Akiさん、
そして新加入のジュンさんに自分を加えた計6名。

準備もそこそこに、5kmの部に参加するあららちんを見送るべく
いつもより少し早く外に出て集合写真を撮る。
円陣を組み、互いの健闘を祈る。



「無理しない程度に、でも自身の定めた目標をクリアできるように、
少しだけ頑張って無理をして、
そして終わったら皆で美味い酒を飲みましょう!」

moonさんの掛け声とともに気合を入れたら一時解散。
各々最後の準備に取り掛かる。

並びゼッケンだった大島くんと連れションを済ませ、
スタート地点に向かう途中でSamさんとも偶然再会した。

Samさんは2013年のつくば100kmウォーク大会で
スタッフとして我々参加者を支えてくれた方で、
大会前に開いたつきっこの練習会でお会いして以来交流が続いている。

今年の100kmについて2、3言葉を交わし、
お互い頑張りましょうと声を掛け合った。
あの時間を共に過ごした人とは
何だかんだこうやって顔見知りとなっていく。

今回初顔合わせとなったジュンさんも
100kmウォーク経由でつきっこを知ったのだとか。
しかもこのブログから。いやんヤダちょっと恥ずかしい。
そう考えると本当に面白い、そしてありがたいご縁だなと思う。

スタート地点に到着するともう人だかりができていた。

スタートは特にはブロック毎に区分けされている風でもなく、
自分もスタートラインが見えるほど近い位置で
スタートの合図を待つことができた。
設定された制限時間がイコール自分のベストタイムなことを考えたら
スタート地点でのロスが少ないのは非常にありがたい。

スタート時刻が近付くにつれ、前のランナーとの距離が徐々に詰まり出すと、
いよいよ始まるのだと気持ちも高まってくる。

miCoachを起動しフリーワークアウト開始の準備をする。
深呼吸をして、飛ばし過ぎるなと自分に言い聞かせた。

10時00分。
スタートの合図とともに一斉に周囲の参加者が歩き出す。
まだ走らない。まだ前に走るほどのスペースはない。
先頭集団がどんどん飛び出していくのが見える。ここからだ。

歩きながらmiCoachを開始。
今回は時間内完走が目的なので、スタートラインからではなく、
純然たる制限時間と合わせてタイムを計測する。

道中の距離標識と照らしながら
完走に必要な残りの距離と時間を正確に把握するために。

スタートラインに敷かれたICチップの計測装置を乗り越えた瞬間、
周囲のランナーが一斉に走り出す。

始まった。自分も走りだす。

最初の数キロは慣らし運転のつもりで軽く流しつつ走る。
ペースメーカーになりそうなお尻を見つけてはその後ろに着いていき、
もう少しいけそうなら次のお尻、速すぎるときはまた違うお尻を探す。



しばらく走ると沿道から聞き慣れた声がするのでふと振り返ると、
5kmの部を走り終えたあららちんが応援に駆け付けてきてくれていた。

まさかもう帰ってきてるとは思ってなかったから
めちゃくちゃテンションが上がる。応援はやっぱり嬉しいものだ。
声援に応えつつ、また走りだす。

3km地点を通過。miCoachはまだ見ない。
5km地点で確認するつもりだから、それまでは感覚で走る。
理由は単純、3km地点で時計を見ても距離と時間の計算が面倒だからだ。

自身の感覚を信じて、飛ばし過ぎにだけ注意しながら走る。

この頃から眼鏡に当たる雨粒が気になり始めた。
あっという間に粒が大きくなり、だんだんと本降りに。
勘弁してくれ、ただでさえ時間ギリギリなのに
これ以上不確定要素を増やさないでくれって感じだった。

今回が初参加の守谷ハーフマラソン。
そのコースはNAHAほど大きな高低差はないにしろ、
地味に細かいアップダウンが多いのが特徴だ。

でもその反面、コースの幅は広く参加者もそれほど多くないので
周囲に余裕があり、自分のペースで走りやすい。
また、制限時間がタイトなせいで全体的にランナーのペースが速い。

moonさんが自己ベストを出したのがこの大会だといのも納得だった。
なるほど良い環境だと思う。ならば、自分も。

5kmを通過、ここで初めてmiCoachを確認する。
タイムはちょうど30分を経過したところだった。キロ6分ペース。
スタート時の若干のロスを考えると若干飛ばし過ぎなくらいかもしれない。

でも、身体はそんなに辛くない。
ならばよし、いいや、このままのペースで走っちゃえ。

6km地点で最初の給水ポイントに到着。
ここでは口を湿らす程度にとどめておく。
普段走るときもこの距離では何も飲まないから。

「練習と同じように走れば、自分は走り切れる」

走りながら、何度も何度もそう自分に言い聞かせる。
残り15km、大丈夫、この距離、このペースならいける。

あっという間に7km地点を通過する。
雨が降ってることを除けば感触は良い。

7kmの距離標識の傍に20kmの距離標示が置いてあった。
事前にコース略図は確認したつもりだったけど、
どこでどうすればここが20km地点になるのかイメージがつかない。

土地勘のない者にとっては若干複雑なコースだ。
でも、ならばこそ目の前のコースに集中して走ればいい。

相変わらず細かなアップダウンが続く。
登り坂では歩幅を広く、下り坂では歩幅を狭くすると
気持ち楽に走れるような気がして、これで細かいアップダウンをやり過ごす。

高低差の激しいNAHAのコースを走ってる最中に
必死に編み出したのだテクニック(?)だ。

9km地点付近を走っていると、沿道の応援に駆けつけてくれたはなさんが
デジ一を構えつつ大きな声をかけてくれているのに気が付く。
折り返しはまだかと思っていたこのタイミングで
この声援は実に励みになる。もうすぐ10km。

コースは大きく下り坂となって、道の先にトンネルが見えてきた。



高架を挟んだ対向車線に折り返してきたランナーたちが走っているのが見える。
往路が下り坂なら、復路はもちろん登り坂だ。うへぇ。

トンネルに突中。
このタイミングで多少なり雨がしのげるのはありがたかった。
眼鏡に付着した水滴をぬぐいながら走る、走る。

トンネル内で10km地点の標識を発見、
スマホの時計を確認すると時刻は11時ジャスト。

10時のスタートからちょうど1時間、
少し落ちてるかもと思っていたキロ6分ペースを維持。

実に順調。まさに計画通り。オレってスゲー!

トンネルを抜け高速道路みたいなコースを走る。
勾配こそ緩いものの、距離の長いアップダウンがきつい。

唯一の救いは、今までのような中央分離帯がないため、
折り返してきたランナーたちとの距離が近いこと。
ここで他のチームメンバーとすれ違うことができればハイタッチし放題だ。
折り返し集団の中から必死で赤いシャツを探す。

最初に自分の目に飛び込んできたのはAkiさん。
続いてmoonさん、大島くん、ジュンさん、Samさん。
それぞれと擦れ違い様にハイタッチを交わす。

意識がコースやペースから離れ対向車線を走るランナーに向けられたことで、
いつの間にやら1kmほど進んでいることに気が付く。
ワープしたような感覚。長いマラソンの最中に訪れる束の間の幸せ。

ハイタッチした右の手のひらに余韻が残る。
雨に打たれ冷え切った手の平を勢いに任せて叩き合ったのだから当然だけど、
でも、その手に残った痺れは、熱となり気力となって身体の芯に響く。

この感覚が堪らなく好きだ。

13km折り返し地点に設置されたポール回る。ここからはまた登り坂。
歩幅を広くしてペースを落とさないよう意識して走る。
周囲のペースが落ちているせいで相対的に速くなったような錯覚に陥り、
まるで自分に羽根が生えたような気持ちになる。これはこれで気分が良い。

登って、下って、再びトンネルに突っ込んでいく。
トンネル内で15km地点の標識を確認、
時刻を確認するためにiPhoneを取り出す。

残りは6km。普段よく走ってるコースと同じ距離。
どんなに疲れてても膝が痛くても、
ここ数ヶ月は40分以上かかったことはない距離。

2時間15分の制限時間で考えると現時点で1時間35分台であればOK。
1時間30分台なら気持ち的にもかなり楽になる。
残り時間はいつもの練習と同じペースで走りたい。
無理をしなくても走り切れる時間であって欲しい。

そんな祈りにも似た気持ちで時計を確認する。


11時30分。


・・・。

いや、まだ騙されない。
miCoachを開き、今度は走行距離とタイムを確認。


15.1km、1時間30分。


・・・。

嬉しくて泣きそうになる。

いける。これ、本気でイケてしまう。
我ながら自分自身のヤればデキる子っぷりに惚れ惚れする。

幸い足もどこも痛くない。呼吸もそれほどキツくない。
無理にペースを上げる必要はないけれど、無理にペースを落とす理由もない。

この残り時間なら、辛くなったらゆっくりでいい。
それでゴールできる。

ならばこのまま行こう。このペースを維持して走ろう。
残りは6km、今からいつもの練習を始めるつもりで、
ここからもう一度スタートするつもりで。

以降の距離は本当にあっと言う間だった。
楽しくて楽しくて仕方がなかった。

トンネルを抜けた先で沿道のはなさんと再会、
大きな声援を追い風に走る。頑張れって言ってくれてる。
大丈夫です、今オレ、楽しくて仕方ないっス!

19km地点で2度目の折り返しがあり、
ちょうど走ってきた対向車線の大島くん、
Samさんと最後のハイタッチを交わす。
次に皆の顔が見れるのはゴールしてからかな。

往路では何故ここにあるのか不思議で仕方がなかった20kmの標識を越え、
長い登り坂を終えると21kmの標識が見えてくる。

ここまでくれば気分はもうウィニングラン。後のことは考えなくていい。
どんどんゴールゲートが近付いてくるのが見える。



 

一気にゴールを走り抜けた。
すぐにmiCoachを終了、タイムを確認する。

高低差の激しいNAHAに向けて夏頃から記録をつけ始めたジョギングの記録。
自分自身の記録の積み重ね。自分の歴史。
その積み重ねがあって、今この瞬間に至る。


2時間6分39秒。


miCoachの計測タイム。
絶望的な制限時間だと思っていた2時間15分を乗り越えた瞬間だった。

やってきたことがダイレクトに結果に反映する世界。
他の誰と競うでもなく、他の誰の為でもなく、
ただただ自分と向き合う時間だけをとことん追求できる世界。

飽きっぽい自分がよくまぁこれだけ続けられてるなと思うのだけど、
こんな瞬間が毎回毎回あるからやめられない。
走るのが楽しくて仕方がないのは、この瞬間が愛おしくてたまらないのは、
積み重ねてきたものを惜しみなく発散できる場所があるからだ。

ゴールで待っていてくれたあららちんがハグしてくれた。
本当に自分のことのように喜んでくれた。頑張った甲斐があった。

完走証を発行し、宿舎内で着替えていたmoonさんたちと合流すると、
皆からもう一度、これ以上ないくらいの祝福を受けた。

嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
泣き出しそうなくらい嬉しかったけれど、でも涙よりも笑顔が溢れた。

公式タイム2時間6分9秒。
ネットタイムで2時間4分38秒。

これまでの自己記録を45分短縮した。
マジで、

どや!?

って気分だ。
改心の走り、最高の記録だ。

この日打ち上げで呑んだお酒は、
これ以上ないってくらい、堪らなく美味しかった。

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プロフィール

HN:桶屋が儲かる

多感な青春時代に
伊集院光を聞き育つ。

撃ち抜けないのは美女の心と物事の急所だけさ。

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