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撃ち抜けないのは、美女の心と物事の急所だけさ。
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いつか、この曲を見つけて懐かしいと思った自分に
今の気持ちを残しておきたいと思う。

令和2年、最初はあんまり深刻に考えてなくて、結構遅くまで遊んでいた。
志村けんさんが死んだ日、自分はROUND1にいて、
あ、怖いからもうやめよって思ったのを鮮明に覚えてる。

当時好きだった先輩と、上野の桜を見に行く約束をした。
でも、上野は封鎖になっていけなかった。
また、来年行こうね。
先輩は優しさで言ってくれたけどそんな日は一生来ないことをわかっていた。

そのあとその先輩との連絡は6月に途絶えた。
学校がなくなって会うこともできなくなって
LINEだけじゃ彼の嫌なところばかりが見えてしまって辛かった。
会えていたら違ったのだろうか。
まだ、好きだったのだろうか。
一緒にいたのだろうか。

学校は全面オンライン授業になった。
大学構内に入ることさえ許可が必要になった。

部活紹介総責。
初めて、責任のある仕事をやってみたいと思って行動を起こした。
そこまでたくさん準備していたし、
準備段階でうまくいかなくてたくさん泣いた。
だからこそ、最後までやって達成感とか自分の成長とかを感じたかった。
何事もなかったかのように、部活紹介は消えてしまった。
自分の努力も、手伝ってくれた仲間の努力も。
それから、そのために作った制作物も捨てられてしまった。

学園祭ももちろんできなかった。
ビンゴの総責をやりたかった。
最高のメンバーだったし信頼できる先輩がいてくれた。
この人たちなら大丈夫と思えた。
そんな空間の中で成長するはずだった。
強くなるはずだった。
まだあの頃で止まっているのは、強くなれなかったからだと思う。

自分の楽しみは全部コロナに潰された。
先輩たちとのディズニー、京都旅行、建築合宿。上野の桜。成人式。
成人式には仲のいい友達が広島から帰ってくるはずだった。

おばあちゃんにも会えなくなった。
久しぶりに会ったおばあちゃんはヨボヨボで泣きたくなった。
いつか、こんな会えない間にいなくなっちゃったらどうしようと怖くて泣いた。
そして、一年間一人でパソコンと睨めっこをした。

一緒に受けるはずだった友達と会えるはずもなかった。
隣でいつも寝ていた可愛いあの子とまた今年も一緒にいられると思ってた。
家で授業を受けることが自分には苦痛ではなかった。
学校が遠いから朝起きるのが遅くて済むのはありがたかった。

でも、家族の視線が痛かった。
だらけてるだけだと言われた。
自分はたくさん我慢してきた。
本当だったら学校で友達と受けた方が絶対楽しいのをわかっているのに
家で受けるしかなかった。

でも家族は自分を馬鹿にしてきた。
自営業の父と動物病院に勤務する姉と高校生の妹と専業主婦の母。
誰一人として生活がこんなにも変わった人はいなかった。
もちろん、それぞれ我慢していたと思う。

妹だって部活が終わればすぐ帰宅で、
思うような青春じゃなかったかもしれない。
父だって息抜きの地元の祭りも友達とのゴルフも中止になった。

でも、自分ほど生活は変わってないじゃないか。
何もかもなくなって部屋にこもってる自分ほど
苦しい思いはしていないじゃないか。

この考えが必ずしも正しいとは思わない。
でもその時の自分は、そう思うしかなかった。
自分は頑張って我慢してると言い聞かせるしかなかった。
それなのに自分が怠けてると言われてることが許せなかった。

妹に、修学旅行なんか行けないんじゃない?と言った。
妹は泣いていた。
親は私を叱った。
泣きたかった。
修学旅行に行けないだけでそんなに擁護されるなら自分だって泣きたかった。

それ以上のことを今まで言われてきて、それでも笑っていた自分が虚しかった。
誰かに、頑張ってるよって認めてもらいたかった。

でも、世界にはもっと苦しくて辛い思いをしている人が
いることを知っているから、自分が苦しいと言えないのが1番苦しかった。

あれから、一年半が経った。
半年だけの辛抱だと思っていたオンライン授業は、2年間続くことが確定した。
楽しみにしていた大学生活は幻になった。
制約の中でどう楽しむかが勝負だ。
そんな前向きに考えられるようにはなった。
どんなに我慢をしても、状況は何も変わらないし悪くなる一方だ。

旅行にさえ行けないまま、また4回しかない大学生の夏が終わっていく。
オリンピックは開催された。
でも私たちはまだ家にいないといけない。

妄想をすることが多くなった。
コロナがない世界線のただ楽しいパラレルワールドを。
そして最後は必ず泣いてしまう。
そして、あたりまえもずっと続くこともないのだと思い知った。
友達と遊んでいても家族と話していても、
いつかこれも突然なくなってしまうのだろうかと怖くなる。

あと何年経てば元の生活に戻れるのだろうか。
もしかしたらもう戻れないかもしれない。
これ以上苦しい状況になるかもしれない。

大人に期待ができなくなった。
日本の政府を信用できなくなった。

オンラインになった時、どうして学生は何もせずに
オンラインを受け入れるのかと言われた。
きっと誰も、大人に期待していなかったんだと思う。
何を訴えかけても、大人は自分の利益にしか興味ないんだろうと思っていた。
この一年半、やっぱりそうだった。
おとなに期待しなくなった。

この一年半でこんなにも世界が変わった。
自分が変わった。
これからの一年半はいったいどうなるのだろうか。

いつか、この文章を読み返した自分が、
この苦しい期間を懐かしいと思えるような
平和な世界を生きられていますように。

--

「ともみ」さんの公開コメントより、引用。


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撃ち抜けないのは美女の心と物事の急所だけさ。

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